ども、、、
本日は先日作った作品について…
フローリストレビューの3次選考用に作ったモノです、アプローチや裏話まで赤裸々に書いてみます~(笑)
少し長くなりますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです~
3次選考のテーマは「アンティーク」、、、
設置面600×600で、物と花をコラボレーション、花は季節感を入れ込むこと。
何をアンティークとするかは各自で解釈。
概要詳細はこちら
課題を知り、出てきたのは…
1、花や花器じゃないアンティークを感じる異素材を使う。
2、枝を組んだテクスチャーを使い、異素材と融合させる。
3、季節を感じる花には球根植物を使いたい。
ざっくりとこんな感じ、テーマを踏まえて異素材と花を融合…その上に植物の生命力を表現出来たらな~と。
1に関してはかなり悩みました(笑)
何を用いても間違いではないし、正解でもないような…
ストレートにアンティークを連想した時計や家具では花がオマケになってしまうような気もしました…
やっぱりベースは花であって、融合した時の視覚イメージは花と物が7:3くらいの印象。
それでいて、よく見たら…"異素材なしでは成り立たない"ような存在感を持つモノ、、、
シンプルに考えては深読み…そんな作業を繰り返す内に出てきたアイデアは、お寺やファミコンにまで及び…もうよくわからない感じでした(笑)
そんな中、結構早い段階からしっくりきていたのが"工具"、、、最初のイメージはスパナやメガネといった軽い工具でしたが、作品にするには線が弱いし、アンティークと感じる風合いでは無かったです。
そこからアレコレと模索してたどり着いたのがエンボッサーという工具…工具というか文具ですね。
紙を挟み込んで圧力で印を付ける道具、西洋版の印鑑とも言える文具…最近はステンレス製のホッチキスタイプが一般的なんですが、古いモノは鉄製での風合いや姿がとても好み、挟む部分に枝を止めたら面白いな~と。
ただ、大きなモノに仕上げるにはバランスが悪く、もう少しパンチが欲しい、、、
それを掘り下げた答えが「万力」でした。
そもそも、工具にはアンティークとされる概念すらないような…そんな中で使われ続けた結果、錆びたり、朽ちたり…
古びた工具を見ると…くたびれた雰囲気の中に"誇り"みたいなモノも感じます。
1つの動作しか出来ない不器用さと、専門的で代えの利かない能力が同居すると言うか、、、そんな部分に強く惹かれました!
アンティークとされる可能性あるモノを生み出し続けた鉄塊、異素材は万力に決めました!
2に関しては一切悩みなし(笑)
1次作品の保険案同様、、、これといった素材が無ければコブシか木蓮を使う段取り。
そんな中、いつもお世話になっている奈良花キの中森さんがあまり見たことがない枝モノを持ち帰ってくれました。
ツルアジサイ、、、ぱっと見た感じはそんな特別な風合いじゃないですが、よく観察すると枝の動きがめちゃめちゃカッコイイ。
小さな芽が出ているのも気に入り、こちらは万力より先に決定。
3、、、ココは最後にぐっと悩みました…
球根植物といっても様々、アマリリスに水仙…好きな花材からイメージし、ムスカリやスノードロップなど小さな主張の素材を球根付きで使うコトを考えたり。
理想はステムに動きを持ってトップが印象的なお花…
万力を決めた時点で植物の動きや風合いはイメージ出来ていたので、それに合う花材を描くんですがこれが中々手強かったです。
およそイメージとは違うモノまで引き合いに出したり、、、球根植物という枠まで外してみたり(笑)
決定打は克己師匠の部屋で見たチューリップ…花瓶に挿された状態でかなり時間が経っており、下を向いた後に再び上を向いたステムが力強くて惚れましたw
流れとしては、偶然手に入ったツルアジサイは早々にリスト入り。
異素材で悩むのに結構な時間を使い、ここが決まらないと植物もイメージ出来ない状態が長かったです。
ようやく"万力"にたどり着き、ネット検索からある画像を見つけます…
ビンテージ万力/画像元
ビンテージ万力、、、この画像を見た時「これで勝負!」と決めました、古びた風合いに力強さ…もう、衝撃(笑)
この画像の持ち主である、Narrowdeの福本さんにアポを取り…万力について色々とアドバイスを頂きました。
残念ながら画像の実物は福本さんの手元になく、似たモノを探そうにも時間がない…
他の中古万力も探しましたが画像の風合いには遠く及びません、というか…画像の万力でイメージが先行、他の万力では何にも練れませんでした(笑)
その後も色々と手は尽くしましたが似たモノは発見出来ず、悩みに悩んで"新品を加工する"ことに…
幸い、同型の新品が流通しており、ネット通販で2日後に新品が届きました。
翌日、その万力を持って東大阪へ…いつもお世話になっているシーピーさんでエイジング加工。
エイジングとはモノを古びたように加工するコトで、ショップの内外装を手掛けて頂いたシーピーさんはそれが本職…TVのセットで多投する技術です。
一緒に手伝いながらハンマーで叩いて角を取ったり、錆に見えるよう壁材を塗ったり…仕上げはお願いして万力は東大阪で2泊w

エイジング前の新品バイス/
万力はバイスと呼ばれており、選んだモノは挟み口を2つ持つ"マルチバイス"と呼ばれるタイプ…通常バイス同様に角材を挟む口があり、その真裏に丸材を挟む口があります。
どちらも上に出来るように回転するのが魅力、ここを調節するコトで挟み込んだ枝を気に入った角度で決めれます。
台座も360度回るので上下左右に調節可能、色々と触っている内に「これ…工具ではなく花器なんでは…」と、思えてくる程扱い易いです(笑)

エイジング後のバイス/
ハンマーやサンダーで面を取り、壁材で表面をボコボコに…
削ったり盛ったり…表面は様々な種類のペンキで塗られてます、台座を固定する板も薄くペイント…昭和風のトタンなどでよく使われる手法だそうです。
板は店で使っていたウォルナット材、固定用のナットもペイント。
2日後、克己さんや友人達とご飯を食べる機会があったので、東大阪経由で福島へ。
みんなと別れた後、使うお花を相談させて頂きました…結構な時間あーでもないこーでもないと、、、
で、最後になって克己さんが「部屋に挿してるチューリップ見る?」と、、、もう、衝撃(笑)
これかと、、、これだと、、、ただ、そう都合良く好みの姿になってくれるものかと…ここは不安でした。
翌日は月曜…
奈良の市場では沢山の種類が揃わないので、克己さんに頼んで八重咲きで100本近く仕入れました。
昼間、再度福島へ(笑)
店に持ち替えり…箱入り娘状態でチューリップを水あげ、そのまま家に持ち帰り暖房を駆使…
火曜は休みなんで、部屋中にチューリップを並べて位置を変えたり、陽が射す窓辺に置いてみたり。
翌、水曜の晩…
店でツルアジサイとにらめっこ…印象的な枝ぶりを拾いながらワイヤーと格闘。
試験管とチューリップは現場で付ける予定で準備。
3/10、木曜、早朝…撮影現場の東京へ。
車に積んだチューリップは明らかに出番のないモノを省いた60本弱。
作品を仕上げなかった理由は運搬中も温度を調整したかったから、試験管も付けてしまうと挿し位置が決まるのでチューリップに合わせて現場でセットする段取り。
パーキングごとに車を停めてチューリップを確認してました(笑)
道中、ずっと考えていたのが「単色でいくか、色を混ぜるか」…単色ならケープランドギフトという品種を使うつもり、色目も咲き方も好み、いい感じで湾曲していたのもナイス…
ただ、店での作業を見ていたお袋が「混ぜた方が春っぽいな~」と言ってたのが引っ掛かる、なにより、店にあった鉢から切った黄色の1本の姿がどうしても使いたい姿をしてまして…
結局、積んだ60本から色に関係なく使いたい姿のモノを選ぶコトに決めました~
力強い姿を求めて苦労しているワケですから、その方が自然だな~と、、、
現場で使ったチューリップは13本!
挿し位置はチューリップの姿と相談、、、こんな感じで完成しました!
持ち帰った作品/
現場ではカメラを構える時間もなく、撤去と同時にお花を抜いたのでお花が入った画像は手元にありません(笑)
というか、、、帰ってきてからそれに気付きましたw
で、慌てて撮ったのがこの1枚、、、母の日はポップをぶら下げてましたが、今もこのまま店にあります~
多くの方にアドバイスを頂き感謝感謝です!
とりわけ、、、全くの初対面ながら万力について詳しく教えて頂いたNarrowdeの福本さん、特番時期の忙しい中で時間を割いて頂いたシーピーの堀ノ江さんと岡崎さん…ありがとうございました!
作品はフローリスト6月号に掲載されてますので是非見てやって下さい~
1月からエントリーしていたフローリストレビューも次が最後、6月中旬…東京でのファイナル頑張ってきます~
2011/5/13 作品画像を追記